冥土の土産 15オレがなんでお婆ちゃんのお葬式を覚えてないのか、聞いてみた。 「あの頃のお兄ちゃん達は、大変だったでしょ。 あの後妻のもとでさ」 またもいやな思い出が、飛び出してきたよ。 あの頃の継母には馴染めなくて、初めの頃はしゃべらなかった。 それが後々まで尾を引き、かなりいじめられたよな。 父親との間もうまく行ってなくて、喧嘩も絶えなかった。 お葬式どころじゃなかったのかな?。 それにしても、お婆ちゃんの記憶がひとかけらもないのは何故だろう?。 普通は何かしら、断片的にでもあるだろうよ。 少女は顔を少し上に向けながら、記憶を辿るようにして続けた。 「お兄ちゃんは、手のかかる子でね、 夜鳴きはしょっちゅうだったし、 ちょっとでも母親が離れると『おかあしゃ~ん』て泣くし。 お腹も弱かったんだよね~」 適当なことを言ってんじゃないのか。 「そんなこと言われても、オレ、覚えてないよ、 そんな、ちっちゃい頃のことは」 ちょっと不機嫌になったオレに、さらに聞いてきた。 「ねぇ。お母さんのこと、覚えてる?」 「ああ。覚えてるよ」 「ふ~ん。覚えてるんだ。じゃぁ私のことは?」 椅子にもたれ掛けて、足を組もうとして気が付いた。 いつの間にか、オレは椅子に座っている。 「それを今考えてたんだけど。お婆ちゃんのこと全然覚えてない。 写真もないし、名前だけだよ。 それもそうなんだけど。オレはいつから椅子に座っているんだ」 「最初に私のことを、綺麗でも可愛くもないって言った後だよ」 オレの言ったことをしっかり覚えている。ひょっとして気にしてるんじゃないの。 効いてるよきっと。へへへ。
by waketa
| 2018-02-15 08:00
| 冥途の土産
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